【ネタバレあり】小説・君の名は。を読んで

映画「君の名は。」をいろんな人から薦められる。そんなに面白いのかと思って今日映画館に行ったら、満席だった。公開から結構経つのにすごい人気だ。映画は諦め、帰りに立ち寄った本屋で小説版を買って読んだ。気持ちが高まってるうちに感想を書き留めておく。他の人の感想は何一つ見ていないので、すでにネットではたくさん語り尽くされているようなことを書き留めることをご了承ください。

■所感
話題作なので事前に断片的な情報は入ってきていたが、時をかける少女みたいなイメージなのかなと思っていた(見たことないけど)。そしておそらく違った。ひぐらし好きとして、また災害史に興味がある者として、えらく惹かれる展開だった。映画ではどうなっているのか。新海誠があとがきで熱く語っておられる映画版がますます気になった。

■ひぐらし好きとして
「ひぐらしのなく頃に」というアニメがある。これは昭和58年、岐阜県あたりの過疎集落『雛見沢村』で発生したダム建設反対運動に関わる「祟り」についての話で、火山性毒ガスによる災害で村が壊滅・廃村になったという設定にも、妙なリアリティに興味をそそられたのだった。ちなみにこの舞台は岐阜県の白川郷と言われている。

君の名は、の舞台は岐阜県飛騨市だ。村が壊滅する大災害の発生、時間軸を駆使して災害を防ごうとする展開、巫女の存在がキーポイントであることなど共通点も多く、(悪い意味じゃなく)ひぐらしが連想された。入れ替わり中の三葉が鬱蒼とした森の中で感じた、ヒグラシの鳴き声が360度聴こえるというシーンは、ひぐらしへのオマージュだよね。ちなみに岐阜県の方々は、たびたび災害等で壊滅しがちなことに関してどう思ってるのか気になる。地元が聖地で有名になって喜んでいるのかな。ゴジラにつぶされるのは名誉って喜んでる各地のランドマークの中の人みたいだ。

■これって恋愛?
事前に見掛けたネットの記事では『これは恋愛作品です』って話だったけど、これは恋愛というレベルか。究極の愛おしさって、恋愛の枠には収まらないと思っている。前日にちょうど似たような話を友人と語り合っていて(しかもシラフだった)、恋愛とは何なんだと考えさせられる。村上春樹の「ノルウェイの森」の帯が『100パーセントの恋愛小説』と書かれ物議を醸したように、ちょっと違うんじゃないかと思えた。

■NHKが出てくる
代表的なマスコミとして、NHKが出てくることにリアリティを感じる。彗星を伝える特集番組、予期せぬ事態になった際の解説委員、どれもあるあるwだ。

先日観たシン・ゴジラでは、災害報道のメインが日テレ風のキャスターとニュース番組だったのがフィクション感が唐突に出ていて、官邸や自治体の災害対応の描写がやたらリアルであっただけに残念だった。

■時間軸、数多くの不明点
映画を薦めてくれた友人が、『一回観たただけじゃ分からなかった』と言っていたが、たしかに不明点が多い。時間軸のズレの意味とか、この場面はいつの時間なのかとか、記憶が無くなる意味のことも。まだネットの考察を一切見ていないので、映画版を観たあとにじっくり考えたいと思う。

■川村元気の解説について
本編ではないが、目次を見ていて解説が川村元気っていうのにギョッとした(ファンの方すみません)。以前、この人の代表作「世界から猫が消えたなら」をジャケ買いしちゃって読んだんだけど、「死」がテーマのはずなのに軽々しく進んでいく内容と、携帯小説のような文体がどうも合わなくて、苦手になってしまった。しかもそれが大人気作と呼ばれて映画化されたのもモヤモヤしている(ファンの方ゴメンなさい)。

ただ、今回の解説を実際に読んでみると悪い人じゃなさそうだ。川村元気の他の作品も、気が向いたら図書館で借りてみたい。たまたま、世界から猫〜が自分に合わなかっただけなのかもしれん。

新海誠が気になりだしたので、他の作品も読んで・観てみようと思っている。そして映画はやっぱり気になるので、明日観に行く。

(▽映画版:【ネタバレあり】映画 君の名は。のリアリティ

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