■2003年7月29日(火)京都市~門真市
旅の無事祈願
16:00 稲荷に集合したメンバー。今回一緒に旅をするのは写真の3人(斉藤・K西・T橋)と、部活の後輩N嶋の4人だ。
伏見稲荷は今でこそ外国人観光客に人気のスポットになっているが、当時は観光客もまばらだった。俺たちが通っていた高校はこの近所にあったので、ここは待ち合わせにもちょうど良かったわけ。
ちなみに高校時代の伏見稲荷は庭のようなものだった。放課後の部活(スキー部)では千本鳥居をくぐって稲荷山の山頂までランニングするという、先輩から代々受け継がれてきた通称「稲荷山」が定番メニューだった。今思えば狂っているし迷惑だが、人気の少ない山の中を駆け抜ける爽快感と、頂上から見下ろす京都の景色は最高だった。運動部なのに校庭をランニングした記憶がない。記憶にあるのは山と鳥居である。
話が脱線してすみません。いよいよ出発と思っていたこの時、雨がポツポツ降り出してきた。
初っ端からレインコート着て雨の中漕ぐのか…と重い空気が漂い始めた俺たちの前に、近くにいたN嶋のお父さんが予想外の提案をしてくれた。なんと、本日の目的地である大阪府内の斉藤宅まで車に自転車を乗せて運んでくれるという。何それありがたすぎる!誰からも異論は上がらず、ありがたく好意に甘えることにした。車に自転車を積み込み、N嶋は助手席へ、他の3人は荷室に乗り込み自転車が荷崩れを起こさないよう支える。走行中、後続車両の運転手とたびたび目が合った。そりゃ驚くわ。
雨に濡れることなく快適に揺られ、大阪の斉藤宅に到着(本当にありがとうございました)。今夜は斉藤家で一泊して、明日の朝いよいよ淡路島に向け出発する。余談だけど、実家に友達が集まる時の雰囲気って良いよね。兄弟がいないので尚更思う。
<きょうの走行距離>
京都市~門真市(斉藤家):0km
■2003年7月30日(水)門真市~洲本市
左からN嶋、T橋、K西、斉藤
10:00 斉藤宅を出発。家で待機している間に雨は止み、降水確率も70%→20%まで下がった。これは嬉しい。
■たこフェリーで淡路島へ
16:00 大阪から国道1号線・2号線をひたすら西に進み明石港に到着。ここからたこフェリーに乗って淡路島へ渡る。大阪を出て明石まで自転車で6時間、まだ淡路島に入っていなかったのだ。思いのほか時間が掛かってしまった。
本州と淡路島は明石海峡大橋で結ばれているが、自転車や原付は通行禁止。たこフェリーが唯一の交通手段だ。フェリーは海上で明石海峡大橋をくぐり、淡路島北端の岩屋港へ向かう。余談だけどこういう巨大建造物って、真下から見上げると怖い。逆バンジーのようにフワッと吸い込まれそうな気がしてゾクゾクする。
明石港を出て20分後、ついに淡路島の岩屋港に上陸した。港の近くに明石焼の屋台があったので、明石で食べそびれた明石焼を生まれて初めて食べた。割り勘で買ったので一人2.5粒ずつだった。金がない高校生のケチケチ旅行である。
さて、この時点ですでに計画より4時間近く遅れていた。計画ではこれから淡路島を反時計回りで進み、北淡町の震災遺構施設に向かう予定だったが、ファミマの店員さんに営業時間を聞くと到底間に合わなさそうだった。そこで急きょ予定を変更、時計回りにする。岩屋から国道を南下して、淡路島東部の津名町か洲本市を目指すことにした。
喫茶グレープ(晩飯)
夕刻、津名町で見つけた喫茶「グレープ」に入る。ここのご飯はすごく美味しくて、当時の旅行記には「ごはんなんてマジ旅館並!生き返った!」とある。また、店の方は親切にも水筒に水を入れてくれた。ありがたい。
■洲本市に突入
街灯のない真っ暗な国道を頼りない自転車のライトで走り続ける。20時頃、ようやく洲本にたどり着いた。洲本市は当時淡路島唯一の「市」で、ライトアップされたきれいな橋、至る所にあるコンビニ、巨大なジャスコまでが都会に見えた。都会は明るくて店がたくさんあってすごい。
今日の疲れを癒すために銭湯を探す。塾帰りと思われる小学生に場所を尋ね、くたくたな身体で銭湯「玉川湯」に入った。旅先で浸かる銭湯は至福のひとときだ。
■今夜の寝床
洲本の海辺で寝床を探すと海水浴場が見つかった。今夜はここでシートを広げて寝ることにする。
もちろん花火もやりました
■スイカのお兄さん登場
「きみらそこで何やってんの?」
花火を終えて寝床でまったりしていたところ、どこからか現れた男が話し掛けてきた。自転車で淡路島一周中で今夜ここで野宿することを話すと、お兄さんはテンションが上がったのか、やたら話しかけてくる。
「何か欲しいもんあるか?ビールでも飲むか?カップラーメンいるか?」
でもこのお兄さん、危ない人ではなさそうだ。酔ってるけど。未成年なので酒はやんわり断ったが、昼間は俺海の家をやってるからと言うので、一緒に真っ暗な海の家へ連れられ入る。お兄さんは棚からカップラーメンを取り出し俺たちにくれた。商品なのに貰ってええのか。
「あちゃー、カップラーメンの湯がないわ。お詫びにスイカやるわ」
スイカて。
話が止まらない上どんどんいろんな物が出てきそうだったので、お兄さんには悪いが話を切り上げてコンビニへ行くことにした。その後温かいカップラーメンを買い込み戻ってきた俺たちが見たものは、シートの上に置かれたスイカだった。
お兄さん…話相手が欲しかったんだろうね。スマン。
<きょうの走行距離>
門真市(斉藤宅)~洲本市(大浜海水浴場):110.9km
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